一般社団法人妙高青年会議所2024年度理事長 丸山 佳祐
はじめに
1975年10月8日、一般社団法人妙高青年会議所の前身である、新井青年会議所が上越青年会議所のパートナーシップによって、全国593番目の青年会議所として設立されました。その後、市町村合併に伴った名称変更や、時代に即した活動を行うために法人格の移行を経て、明るい豊かな社会の実現という崇高な理念の元、様々な事業を展開してまいりました。敬愛する先輩諸氏の、弛まぬ努力で熱い想いは引き継がれ、今年で創立49年目の歩みを進めようとしています。20歳から40歳で構成された私たちの組織は、青年を名乗り活動しています。壮年期の私たちが、青年を名乗るのには確固たる想いを抱き、より青年らしく斬新なアイデアで希望を持ち、物事に挑戦して夢を追って行くべきなのです。また先駆者であるために、物事の先を読み、時代に即した青年会議所だからできることを、常に考えて活動してまいります。
世界や日本国内を見渡すと、解決しなければならない問題は山積みです。ここ妙高地域も例外ではなく、人口減少・少子高齢化から派生した多くの課題を抱えています。令和5年度妙高市の施政方針でも人口減少に果敢に挑戦することが述べられており、全てのひとが安心して暮らせるまちづくりを推進することが求められています。
組織運営について
青年会議所の本質は、地域の魅力を掘り起こして行動していくことだと私は考えます。しかしそのような活動が円滑に進むには、組織の根幹である運営が滞っていてはうまくいきません。メンバー相互の情報共有や伝達を迅速に行い、無駄を省いた柔軟な組織運営が重要になります。建設的な会議を目指し、良い意見を吸い上げることで素晴らしい事業を展開していく必要があります。AIやIoT、RPAといったデジタル技術が日々進化している昨今、瞬く間に進歩する時代に乗り遅れる事なく、常にアンテナを張り続け、そこから学び、必要なものを取り入れていくことが大切です。
また、広報活動にも力を入れていくべきだと考えます。私も27歳で入会するまでこの組織が、日々どのようなことをしているのか、まったく知りませんでした。多くの人に活動内容を知ってもらい、賛同していただけるように、ホームページやSNSといったツールを使い、頻繁に発信していきます。役職に求められる職務を全うするのは、簡単な様で大変難しいことですが、一人ひとりが当事者意識を持ち、互いに助け合っていくことで達成できるはずです。
持続可能な地域へ
妙高地域には地域住民が誇りにできるものがたくさんあります。日本百名山で、越後の富士とも呼ばれる秀峰妙高山と、その一帯は国立公園に指定され、四季折々の自然と雄大な景観が魅力のほか、赤倉・新赤倉・池の平・杉野沢・妙高・燕・関温泉と、それぞれ独特の色と泉質をした天然温泉、スキー場、ゴルフ場など、豊富な自然を活かした観光地を抱えています。また春には山菜、豊富な雪解け水から育つ米、良質な土から育つ野菜など食に関しても、他地域に引けを取らないものが多くあります。それを国内外問わず、多くの人に伝播していくことで、交流人口・関係人口が増加し、それに伴って働き口が増えるという、よい循環が生まれます。内閣府のデータでも、人口が増加した市町村の特徴は、製造業、商業の集積がみられ、農業や観光などの所在する場所となっています。妙高地域には様々な強みがあり、持続可能な地域として存続していくには十分すぎる材料が揃っています。
子どもたちの未来を見据えて
日本の出生数は1975年から減少し、2022年の出生数は初めて80万人台を割り込みました。晩婚化や未婚化が進行していること、経済的不安などが原因と考えられ、ここ妙高地域においても、他の地域同様に少子化が問題視されているのが現状です。このような問題に着目するのは大切ですが、地域に住む子どもたちの可能性を考えて、育ててあげることが今の私たちにできる最優先事項だと考えます。
子どもには無限の可能性があります。私が子どもの頃は、NBA選手や将棋の棋士、学校の先生から美容師など、多くの夢を持っていました。夢を持てないことは物事を慎重に考えることができるという側面もありますが、幼少期に数多くの体験や人と出会うことで、その時々での目標を持つことが大切です。目標を持つことで、明確な方向性が定まり、日々のモチベーションが保たれ、目の前の物事に集中することで、大きく成長していくことができます。またそのように、希望に満ち溢れた幼少期を過ごした地域へは愛着が育まれ、そのまま妙高地域への就職や、都市部に憧れを持ち上京した後にUターンして戻ってくることが期待できます。将来の妙高地域を牽引する人財が、1人でも多く生まれ、活気あるまちづくりが行われるよう活動してまいります。
会員拡大の重要性
青年会議所の会員をなぜ拡大しなければいけないか問われた時に、地域とメンバー自身のためだと答えます。青年会議所の活動は、金銭的な利益を求めず、地域のことを考える組織だからこそ、多種多様な職業や考えの人が入会してきます。それぞれ入会理由は様々ですが、同志となれば目指すところは本会の理想でもある、明るい豊かな社会の実現になります。10人よりも100人と、人の数が多くなればなるほど地域に注がれる力は増大し、組織にとってより良い事業展開が期待できます。
また自分とは異なった角度から考えられる人と出会い、活動の中で苦楽を共に過ごすことで新たな友情が芽生えます。様々な仲間と行動することで自身の向上に繋がり、社業や私生活においても良い影響が現れます。私たちの活動にはメリットしかない多くのメンバーでの活動ができるように積極的に会員拡大をしなければなりません。
創立50周年に向かって
一般社団法人妙高青年会議所は、来年度創立50周年を迎えます。これまでの歴史と地域に感謝し、私たちの活動を未来へ繋げていくための、記念式典が開催されます。しかし人口減少や不景気といった状況から会員不足が加速し、活気が失われていくことが懸念されています。地域への活動を通じて自己成長していくことと、会員拡大によって組織全体の人数を増やすことで、活気溢れる組織作りを進めていくことに注力します。
また本年度は人財育成のシステムとして存在する新潟ブロック協議会において行われる、第54回ブロック大会を誘致しました。日頃の活動に加え、この大きな大会を起爆剤としてメンバー全員が気概を持って取り組んでいくことで素晴らしい50周年を迎えられると確信しています。
メンバーへ向けて
私は青年会議所という組織に入会していなければ、今の自分はなかったと切実に感じています。
青年会議所の魅力は一言では言い表せません。私は日々の活動を通じ、笑い、泣き、怒り、喜び、切磋琢磨することで多くの経験と仲間を得る事ができました。青年会議所は単年度制であり役職や立場が変化し続けるため、1年ごとに行動の仕方を熟考することが求められます。人間は新しい事に挑戦するか、難しい事に挑戦した時に成長していきます。自身の今ある状況に誠実に向き合い、行動していくことで更なる信頼関係の構築と自己成長に繋がります。これは、どれだけの対価を払っても得ることのできない財産になります。個々を高め合い団結していくことで、個人では達成できない事柄に挑戦していくことが可能となり、ひいては地域、関係団体と更なる団結することで持続可能な地域を形成していくと確信しています。楽しいことばかりではなく、時には逃げ出したくなることもあるでしょう。しかし人生において乗り越えられない試練は与えられないと言われています。共に成長し、笑顔で終えられる1年になるよう、全力で行動しましょう。
2024年度スローガン
団結
人間は生まれてから寿命を終えるまで1人では生きていけない生き物です。多くの人と団結していくことで成長していきます。まずは真摯な情熱を結集し、社会貢献することを目的に組織された青年会議所メンバー内での更なる団結を目指していきます。明るい豊かな社会の実現という明確な目標を共有し、コミュニケーションの機会を増やしていくことでそれぞれが協力してサポートし合える体制が整います。そして共に連携できる地域や関係団体との団結も重要視するべきです。連携することでアイデアや人員や財源といった不足している部分をお互いに補い合うことが可能になり、さらに磨き上げられた事業展開が期待できます。他者を尊重し、感謝して一年間団結していきます。
結びに
第49代理事長として1975年に新井青年会議所として発足して以来、先輩諸氏の熱い想いと積極的な行動力によって培われてきた歴史に感謝し、未来永劫続くように伝承していかなければいけません。また活動を通じて出会うことのできた全ての人や経験に感謝しなければいけません。会員唯一の理事長という役職を全うし、夜郎自大とならぬように日々学びメンバーと団結し目標に向かって邁進してまいります。
本年度、一般社団法人妙高青年会議所が49年目を迎えるにあたり、関係各位並びに地域の皆様方におかれましてはより一層の御理解、御協力を賜りますことをお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。